クルマのライトを製造販売する日本の大手3社を ”ライト御三家” と呼びます。3社ともに100年を超える老舗企業で創業順に並べると以下になります
1903年創業 ”白光舎” 現「市光工業株式会社」、 連結売上1,354億円
1915年創業 ”小糸源六郎商店” 現「株式会社小糸製作所」、連結売上8,647億円
1920年創業 ”北野商会” 現「スタンレー電気株式会社」、 連結売上4,377億円
3社の2022年度 連結売上合計は1兆4378億円、世界全体のライト市場 5兆5000億円(388億ドル、Mordor intelligence)の26.1%を占めます
日本の自動車メーカー上位3社の連結売計合計は64兆6000億円、世界市場367兆円(Global information)の17.6%ですから、ライト御三家は日系カーメーカー上位3社よりも高いシェアを有しています

自動車メーカー系列でみると市光工業は日産、小糸製作所はトヨタ、スタンレー電気はホンダと結びつきが強い会社です
市光工業は1990年代後半に日産の業績不振のあおりを受け、2000年にバレオと包括事業提携を結び、2017年1月にバレオの子会社になりました。日産はルノー傘下となり、日産と市光は共にフランス資本に取り込まれました
小糸製作所はトヨタ自動車の成長に牽引されるカタチで業界トップを走っていますが、更なる成長に向けて2023年10月にデンソーとの協業を発表しています
スタンレー電気は2021年1月に三菱電機と業務提携し、更に2022年9月に本田技研工業と資本業務提携を結ぶなど系列回帰の動きを強めているようです
ライト御三家に共通している動きは、系列カーメーカーとの関係維持に加え、ライト類の電子化に対応していくためにメガサプライヤーとの提携強化を進めていることです
市光工業 ー バレオ ー 日産
小糸製作所 ー デンソー ー トヨタ
スタンレー電気 ー 三菱電機 ー ホンダ
会社の規模と総合的な技術力を勘案すれば、ライト御三家はいずれメガサプライヤーに取り込まれていくと考えるのが自然ですが、メガサプライヤーと同等レベルの技術力をM&A等で自力獲得する道もありそうです。
市光工業は既にバレオの子会社ですが、小糸製作所とスタンレー電気は2010年以降のLEDヘッドライトの好調な販売で潤沢な現預金があり、M&Aの余力があるように見えます。


各社決算書より、スタンレー電気のみ2012年以降
海外に目を向ければ、HellaはZFと提携後にFoureciaと合併してForviaに社名変更し、Varroc のライティング部門はPlastic Omnimumに買収され、ZKWはLG電子の子会社になりました。いずれもライトメーカーがメガサプライヤーの傘下に入る動きです
日本のライト御三家は、日系カーメーカーの仕事が未だメインですが、日本の自動車産業が成長を続けるとは考え難く、海外の成長著しい新興ブランドにどれだけ食い込んでいけるかが、今後の成長のカギになるのではないでしょうか