前照灯 100年の進化

 前照灯の歴史と進化を時系列に纏めています。取り上げる前照灯と技術の選定基準は ”量産車への初採用” としていますが、トピックスと思しき標識灯やその他の技術も備忘録的に取り上げています

 青アンダーラインは法制化トピックです

前照灯の起源、馬車用のランタンやロウソク

江戸時代1861年の歌川貞秀の絵。横浜でランプが装着された馬車でに乗り、アメリカ人が観光をしている
Source ; GateJ 馬事文化財団 
https://www.bajibunka.jrao.ne.jp/uma/event/event_20220204_2.html

ランプ付き馬車 歌川貞秀《横浜休日亜墨利加人遊行》 文久元年 1861年 

明治時代に製造された、提灯が装着されている人力車の写真
Source ; Kazenoya
https://jinrikisha-service.com/%E4%B8%AD%E5%8F%A4%E4%BA%
BA%E5%8A%9B%E8%BB%8A%E8%B2%B7%E5%8F%96/

提灯付き人力車 明治時代製造

 1886年にガソリン内燃機関の3輪自動車 ”Benz-Patent-motorwagen” と、同4輪自動車 ”Daimler motor Carriage” がドイツで誕生します。初期の試作車両に灯具はありませんが、走行中の写真に灯具を確認することができます

1886年にベンツが発明した世界初のガソリン内燃機関自動車
Source ; Wikipedia
ベンツ製造の3輪内燃機関自動車・モデル3
Source; Mercedes Benz https://mercedes-benz-publicarchive.com/

左 Model1:1885-1886   右 Model3:1886-1894、灯具を装着

最初のガソリン内燃機関自動車 Benz Patent Motorwagen

1886年にダイムラーが発明した世界初のガソリン内燃機関4輪自動車
  Photo ; Benz-Museum
1886年ダイムラー製造の世界初ガソリン内膳機関4輪自動車に搭載されているランプの拡大写真
  Photo ; Benz-Museum

左:Daimler Motor Carriage 1886年    右 ランプ拡大、側方や後方からも見える構造  

最初のガソリン内燃機関4輪自動車 Damiler Motor Carriage、灯具を装着

 米国ではジョージ・セルダンが内燃機関自動車を1877年に発明したと主張して特許を取得、後にセルダン特許紛争が起きます。写真のセルダンが乗る車両は灯具を装着しています

1877年ジョージセルデン製作のガソリン自動車の写真。ランプ2灯を装着
Source ; Just A Car Guy
https://justacarguy.blogspot.com/2011/08/variety-of-interesting-things-found.html

 1899年に自動車の最高速度は100km/hに到達しますが、灯具はロウソクやランタンで明るさが不足していた為、夜間の高速走行は危険な行為でした

 1879年、米国トーマス・エジソンが実用的な白熱電球を発明します。初期の電球はカーボン・フィラメントで振動に弱く、高出力な前照灯用途には不向きでした

 1896年、英国の馬車メーカー ”スロップ&メイブリー社” が英国王室に献上した電気自動車は、車内に3個の電球を備えています。電気は床下の蓄電池から供給されました

1896年に英国のスロップ&メイブリー社が女王御料車として製造した電気自動車。車内に電球3個を装備している
Source ; 英国商業雑誌1897年8月

 Thrupp and Maberly社 ビクトリア型電気自動車

 1898年、米国 ”Columbia Electric Car社” は電球式ランプをランタンの上位オプションとして販売しました。同年代の別の電気自動車にもランタン型の電球式ランプが装着されています

国立米国歴史博物館に所蔵されている1900年頃のRiker Electric Automobileの写真。電球ランプを搭載
Source ; National museum of American history
1900年頃のRkier Electric Automobileという電気自動車に搭載されている電球ランプの拡大写真
https://americanhistory.si.edu/collections/nmah_840488

 左:Riker Electric Automobile    右:電球式ランプ 拡大
国立米国歴史博物館、1900年頃の車両

 前照灯に電球が使用されるようになるのは約10年後、タングステン・フィラメントが開発され、明るさや寿命、耐振動性が向上してからになります 

 19世紀後半にアセチレンガスの安価な生産方法が確立されます。ロウソクやランタンと比較してアセチレンガス灯は10倍以上明るく、自動車の前照灯(HL:Head Lamp)に使用されるようになります

 参考ブログ:化学と歴史のネタ帳

アセチレンガス式ヘッドライトを搭載した、1902年のメルセデスSimplex・40PS
Place ; Benz museum
1902年式メルセデスSimplex・40PSのアセチレンガス・ヘッドライト
Place ; Benz museum

1902年 Mercedes Simplex 40PS アセチレンHL  

 アセチレンHLは1908年のT型フォードに搭載され、1900年代後半から1910年代半ばにおける主流のHLでした。尾灯や側方灯はロウソクやランタンが使用されました

03年 日本初の自動車取締規則 夜間無灯通行禁止「愛知県 乗合自動車営業取締規則 県令第61号」
07年 日本初 国産ガソリン車、吉田号タクリー アセチレンHL

国産初のガソリン自動車、吉田号タクリー1号車
Source ; 日本の自動車技術330選  
https://www.jsae.or.jp/autotech/1-1.php
国産初のガソリン自動車、吉田号タクリー4号車
Source ; Japan Archives 
https://jaa2100.org/entry/detail/041317.html

左:タクリー1号車       右:タクリー4号車

08年 世界初 電球式ランプキット(ヘッドランプ、サイドランプ、リアランプ)
    Pockley Automobile Electric Lighting Syndicate
08年 世界初 レンズ&リフレクターの集光型アセチレンHL、WMI(現Hella・Forvia)

1908年、WMI社(現HELLA-Forvia社)のアセチレン探照灯”SYSTEM HELLA”
Source ; Hella history  https://www.hella.com/hella-si/en/History-139.html

アセチレン・サーチライト “SYSTEM HELLA”

09年 日本 ライセンスプレートランプ装着義務付け
09年 世界初 タングステン電球式HL、ロールスロイス

電球式HLが普及、眩しいHLの規制が始まる

 1910年代は第1次世界大戦により欧州の自動車産業は停滞し、米国がリードするようになります。それまで使われていたアセチレンHLとランタン尾灯は、点消灯の度に運転手が車両から降り、各灯具の着火や消火を行う作業が必要でした。電球式ライトは点消灯が格段に容易になることから、キャディラック等の一部高級車に搭載されると、瞬く間に大衆車にも搭載されるようになります

 1915年にT型フォードが電球式HLを標準搭載し、尾灯などの灯具も電球へ置き換えられていきます

 電球式HLは格段に明るくなり、最大光度は2万カンデラを超え、100m以上遠方を照らすことができるようになった反面、対向車や歩行者の眩しさが社会問題化します。1915年のマサチューセッツを皮切りに、米国主要都市は眩しいHLの使用を禁止するようになります

 HL規制に対応する為、1915年にキャディラックがHLを下側に傾けることが可能な機械式HLを開発します。これが初のすれ違い用前照灯(ロービーム)と言われ、ビュイックやオールズモービル等もハイビーム減光システムや明るさを抑えた副灯を装着するなどしてHL規制に対応しました

12年 世界初 車両電気システムと一体化された普及型 電球式HL、Cadillac

世界初の電気スターターシステムと電気式ヘッドライトを搭載した、2012年式キャディラック・モデル30ツアラー
Source ; flickr  https://www.flickr.com/photos/42220226@N07/52495705450

Cadillac Model30 Tourer 1912年式

14年 世界初 2輪向けタングステン電球式HL、Indian Hendee Special

Source ; Mecum auctions
https://www.mecum.com/lots/392616/1914-indian-hendee-special/

15年 米国 マサチューセッツ州が配光法規制定 
15年 世界初 ハイ/ロー切替HL(機械式)、Cadillac、Guide Lamp Company
17年 世界初 車室内レバー操作式ハイ/ロー切替HL、Cadillac Type55

世界初となる、車室内レバー操作によるハイビーム/ロービーム切替ヘッドランプを搭載した、1917年式Cadillac Type55 Suburban
Source ; flickr  https://www.flickr.com/photos/theadventurouseye/42342457612

Cadillac Type55 Dipping headlamp system


18年 世界初 尾灯、方向指示灯
19年 世界初 自動車用ヘッドライト専用工場、CIBIE

ハイビームとロービームを使い分けるマルチビーム方式が定着

 電球式HLが一般化し、対向車の有無や交通シーンに応じてハイビームとロービームを使い分ける方法が定着します。対向車への防眩と前方視界の最大化を両立するために、複数のビームを使い分ける方式を ”マルチビーム方式” と呼びます

 1924年にハイビーム用フィラメントとロービーム用フィラメントを1つのバルブに搭載した2灯式電球が開発されると、1つの灯具でハイビームとロービームを切り替えることが可能になります。必要な灯具数を減らすことができるため、多くの車両で使用されるようになります

24年 世界初 ダブルフィラメント式ハイ/ロー切替バルブ Bilux Bulb、Bosch & Osram

世界初のダブルフィラメントバルブBiluxの1929年広告。オスラム社製
Source ; ATZ magazine https://atz-magazine.com/pdfs/en-2018_120_03%20I.pdf

オスラム BiLuxバルブ広告 1929年


26年 世界初 淡黄色フォグランプ、ルマンレース用、CIBIE

1926 Le Mans 1-2-3 Winner Lorraine-Dietrich


27年 世界初 足踏み式・ハイビーム/ロービーム切替システム
29年 世界初 トリプルフィラメント式ハイ/ロー/スモール切替HL,イスパノスイザ32CV H6b

Source ; Toyota Museum
 https://toyota-automobile-museum.jp/archives/car-database/detail.html?id=301

照明技術の探求と実現:ミドルビーム、フォグランプ、黄色HL等

 対向車への防眩と前方視界の最大化を両立する難題に対し、様々な照明技術が研究されました。マルチビーム方式のミドルビームや、悪天候時に視界を確保するフォグランプが実用化され、有色光の研究成果からフランス政府は黄色HLの装着を義務化します

 1930年代の後半に高反射率リフレクタの大量生産を可能にする真空蒸着技術が確立します。1939年にGEがシールドビームの前身となる ”メタルバック式シールドビーム” を実用化します 

33年 世界初 トリプルフィラメント式ハイ/ミドル/ロービーム切替HL、Packard

世界初のミドルビーム搭載車、1933年製のパッカード・トゥエルブ
Source ; Hyman LTD
https://hymanltd.com/vehicles/6253-1934-packard-twelve-coupe/

34年 世界初 ダブルフィラメント式ハイ/ミドル/ロービーム切替HL、Nash

1934年製ナッシュの写真
Source ; Nash motors Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Nash_Motors#/media/File:Nash_4-Door_Sedan_1934.jpg

ミドルビームは助手席側HLのみをハイビームに切り替える

35年 世界初 REFスイブル式・追加ロービーム、Tatra
36年 世界初 リトラクタブルHLCord 810/812

Source ; Source ; SHIN SHEIM GERMANY
Source ; Toyota Museum

車室内の左右にあるハンドルを廻してHLを開閉


37年 フランス 前照灯の黄色光を義務化
38年 世界初 フォグランプ、Cadillac
39年 世界初 シールドビームHL、Calillac series 62、General Electric

単一規格HLを大量生産する時代へ

 欧州で第2次世界大戦が始まり戦線が拡大する中、米国は1940年にHL規格を7インチ丸形に一本化する決定を行います。当時のHLは寿命が100h程度で交換頻度の高い消耗部品でしたが、前年に米国で開発されたシールドビームは寿命が300hに向上し、これを大量生産することで低コストと安定供給の実現を目指しました

 第2次世界大戦終了後も米国の前照灯規格は維持されます。HLのバリエーション展開は停滞しましたが、この時代から車体は曲面基調に変化し、HLは車体デザインの一部として取り込まれていきます 

40年 米国 7インチシールドビーム規格化(~83年)、Low/High:30W/40W、Max75000cd/台
42年 世界初 電動開閉式リトラクタブルHLクライスラー デソート・クラブクーペ

世界初の電動開閉式リトラクタブル・ヘッドランプを搭載する、1942年式クライスラーのデソート・クラブクーペ
Source ; Wikimedia commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:42_DeSoto_Custom_Club_Coupe_%289338602115%29.jpg


47年 世界初 非対称ロービーム、CIBIE
47年 世界初 ステアリング連動式・センターハイビーム、Tuckar Torpedo

Source ; CNN Money
https://money.cnn.com/galleries/2011/autos/1112/gallery.barrett-jackson-rare-cars/3.html

中央ライト:Cyclops-Eye

シールドビームの国産化が進む

 この時代の米国自動車産業は黄金期を迎え、車両の大排気量化と高機能化が進みます。米国政府はシールドビームの照射性能を引き上げ、前照灯装着数を2灯のみから4灯も可能にするなどバリエーションの拡充が行われます

 日本の自動車産業は1949年にGHQが自動車生産を解禁した後、外国ブランドのノックダウン生産を開始します。HLメーカーはシールドビームの内製化に取り組み、東芝と小糸製作所は製造難易度が高いものの高性能なオールグラス・シールドビームの生産を開始します。スタンレー電気はコスト競争力に優れるメタルバック・シールドビームの生産を開始します

52年 世界初 自動ハイ/ロー切替HL(Autronic Eye)、Cadillac models、Guide

Source ; CNET

54年 米国 7インチシールドビーム出力引き上げ、Low/High:30W/40W ⇒ 40W/50W
54年 世界初 自動レベライザー(サスペンション連結リンク)、Panhard Dyna Z、CIBIE

Source ; lanemotormuseum
https://www.lanemotormuseum.org/collection/cars/item/panhard-dyna-z-1954/


56年 アメリカ 前照灯のメカニカルエーミングを導入
57年 アジア初 シールドビーム生産販売開始、小糸製作所

1957年にアジア初で生産開始した小糸製作所のシールドビーム・ヘッドランプ
Source ; KOITO
https://www.koito.co.jp/100th/eng_pc/chronicle/90_years.pdf 


57年 米国初 ハイ/ローHL + ハイHLの4灯HL、Cadillac
57年 米国初 ハイ/ローHL+ハイHLの縦積み4灯HLNash Ambassador
57年 米国 オールウェザー型前照灯を規格化、上方10°~90°:125cd以下
58年 米国 4灯式シールドビーム(丸形) 規格化
58年5月 日本初 4灯式メタルバックシールドビーム、スタンレー電気

Source ; Stanley
https://www.stanley.co.jp/company/100th/chapter2.html

高輝度長寿命のハロゲンバルブが登場

 1962年、欧州で白熱バルブに沃素等の不活性ハロゲンガスを高圧封入したハロゲンバルブ(H1バルブ)が開発されます。フィラメントから蒸発したタングステンを再びフィラメントに戻すハロゲンサイクルによりバルブ内壁の黒化を軽減し、最大2倍の明るさと約1,000hの長寿命化が可能になりました

 米国はシールドビーム規格を維持し、従来の白熱バルブ以外の光源を認めなかったことから、以降のHL開発は欧州がリードするようになります  

60年9月  世界初 角型HLFord Taunus P3、Hella
60年10月 日本 保安基準改定 すれ違いビーム距離 15m→30m、走行ビーム距離 50m→100m
60年10月 日本初 自動ハイ/ロー切替HL、いすゞ ヒルマンミンクス、松下電器産業

Source ; ISUZU  https://www.isuzu.co.jp/newsroom/details/nenp_006.html

ヒルマン ミンクス Hi-Style PH400型  オートビーム・チェンジャー

 
62年 世界初 ハロゲンバルブH1発表
67年 米国 FMVSS108公布
67年 世界初 ステアリング連動式HL、シトロエン DS
67年 日本初 リトラクタブルHLトヨタ 2000GT、小糸製作所

日本で初めてリトラクタブル式ヘッドランプを搭載した、トヨタの2000GT
Source ; Toyota
https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60012817/index.html


68年 米国 ヘッドライトカバー禁止
69年 世界初 プロジェクターHL、Dodge Super-Lite(追加ライト)、クライスラー&シルバニア

H4ハロゲンバルブの普及

 1960年代後半に欧州でH4ハロゲンバルブが開発されます。ハイビームとロービームを1つの灯具で切り替え可能なダブルフィラメントを有し、それまでにない明瞭なロービーム・カットラインを形成できることが特長です。1971年に欧州でH4ハロゲンバルブが認可された後は、欧州を中心に採用が急拡大します

 米国では、NHTSA(運輸省道路交通安全局)がH4ハロゲンバルブを認めない一方、ほぼ同形状の ”HB2” ハロゲンバルブを新たに規格化します。これにより、米国車もバルブ交換式シールドビームにおいて、ハロゲンバルブを装着することが可能になりました

 米国NHTSAはHL光源の性能向上に合わせ、シールドビームの配光性能上限値を引き上げる改訂を実施します

71年 欧州 ハロゲンバルブH4 規格化 ハイビーム最大光度引き上げ 112,500cd/片側
71年5月4日 世界初 LED-HLコンセプトイラスト、The Wall Street Journal

世界初と思われるLEDヘッドランプのアイデアスケッチ、1971年
Source ; The Wall Street Journal

72年1月 米国 2灯シールドビーム出力引き上げ、Low/High:40W/50W ⇒ 50W/60W
72年2月 日本初 シールドビーム用ハウジングの樹脂化、トヨタ ニューパブリカ、東芝電気
73年12月 日本 改正保安基準 すれ違いビーム視認距離 30m → 40m
74年 米国 角型2灯、角型4灯シールドビーム規格化、認可
76年 北欧 HLクリーナー義務付け
78年 米国 ハイビーム最大光度引き上げ 75,000cd/台 → 150,000cd/台

78年 日本 沖縄の通行区分左側通行に変更

79年7月 日本初 異形HL、日産 スカイライン 、小糸製作所

日本初の異形ヘッドランプを搭載した、日産自動車のスカイラインC210後期型
Source ; Ameba-blog  https://ameblo.jp/yongousen/entry-12354848414.html

シールドビームから異形HLへ

 1983年に米国のシールドビーム義務化が終了し、カースタイリングに合わせてHL形状を個別設計する ”異形HL” が主流になっていきます。当時のトレンドはフロントノーズを低く抑えたエアロダイナミクスデザインで、それを実現する為に発光部が小さいプロジェクタ光学系やリトラクタブルHLに人気が集まりました

 日本では異形HLへの移行に伴い、HL材質はそれまでの金属とガラスから軽量で形状自由度の高い樹脂材への置き換えが進みます。欧州や米国で樹脂材が本格的に使われ始めるのは1990年代からです

81年9月 世界初 樹脂レンズHL、トヨタ カリーナ、小糸製作所

世界初の樹脂レンズヘッドランプを1981年に搭載した、トヨタのカリーナA6型
Source ; Toyota  https://gazoo.com/catalog/maker/TOYOTA/CARINA/198101
Source ; JAF https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/safety-light/lamp

83年3月 世界初 2輪用リトラクタブルHL、Honda Spacy125 striker

Source ; Honda Spacy125 striker catalog

83年7月  米国 異形ヘッドランプが許可される
83年9月 (確認中)パラレルライズアップHL 日産 フェアレディZ
83年10月 米国 ハイマウントストップ義務付け
84年   1937年以降で米国初 電球交換式HL(HB1/9004)、Lincoln Mark VII
84年12月 世界初 オール樹脂製異形HL、トヨタ ソアラ、小糸製作所

世界初のオール樹脂製異形ヘッドランプを1985年に搭載した、トヨタ自動車のソアラ3.0GT Z10型後期
Source ; Car-sensor  https://kuruma-ex.jp/usedcar/detail/ccAU0929424937
Source ; JAF https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/safety-light/lamp

86年6月 世界初 プロジェクター式ロービームHLBMW7series、Bosch & Hella

世界で初めてプロジェクター式ロービームを搭載した、BMWの1986年式7市リーズ
Source ; BMW https://www.bmwblog.com/2022/11/28/brief-history-bmw-7-series/


86年10月 世界初 LEDハイマウントストップランプ、日産 フェアレディZ後期、市光工業

世界初のLEDハイマウントストップランプを、1986年に搭載した日産自動車のフェアレディZ31後期型
Source ; NosWeb.JP  https://nosweb.jp/nostalgichero/articles/detail/4351

HMSL灯具は市光工業製、LEDはスタンレー電気製

87年8月 日本初 プロジェクター・ロービームHL、日産 スカイラインR31後期、市光工業

日本初のプロジェクター式ロービームヘッドランプを、1987年に搭載した日産自動車のスカイラインR31後期
Source ; Motor-fan https://motor-fan.jp/weboption/article/50453/

88年5月 世界初 4灯式プロジェクター・HL、日産 シルビアS13(オプション)、市光工業

世界初の4灯プロジェクター式ヘッドランプを、1989年に搭載した日産自動車のS13型シルビア
Source ; Cartune  https://cartune.me/notes/CXNybJ8gW4

88年9月 世界初 標準搭載4灯式プロジェクターHL日産 セフィーロ

世界で初めて4灯式プロジェクタを標準搭載する、日産の1988年式セフィーロ
Source ; Nissan  https://n-link.nissan.co.jp/NOM/ARCHIVE/09/

89年9月 世界初 クリアレンズ・MRヘッドランプ、ホンダ アコード、スタンレー電気

1989年に世界初の素通しレンズを実現したMR(マルチリフレクタ)ヘッドランプを搭載するホンダのアコード
Source ; Honda  https://global.honda/jp/news/1989/4890913.html

クリアレンズが普及、HIDの登場

 多様化するカースタイリングに対し、HLレンズの光学ステップでは光を制御できないケースが増えてきた為、リフレクタやプロジェクタユニットによる光学制御が主流になっていきます。レンズはクリア化され、剥き出しになったHL内部の造形は意匠部品としてデザインされるようになります

 1991年にHID光源がBMWに初搭載され、日本では1996年から導入が始まりました。HIDは点灯回路が複雑でコストが高いという問題はあったものの、ハロゲン比で約3倍の圧倒的な明るさを誇り、高級車を中心に採用が拡大していきます

90年1月 西ドイツ HLレベリング義務化
90年1月 世界初 オンボード式エイミングHL、トヨタ ランドクルーザー、小糸製作所

世界初のオンボード式エイミング・ヘッドランプを1990年に搭載した、トヨタのランドクルーザー80型
Source ; Toyota https://toyota.jp/landcruiserprado/brandhistory/#brandhistory_genealogy

90年7月 日本初 発光グリル、日野自動車 セレガ、小糸製作所

Source ; バスマガジン  https://bus.naganoblog.jp/e267628.html

90年  カナダ DRL義務化

91年  世界初 レースカー用HID‐HL日産 R91CP、市光工業
91年  世界初 HID‐HL、BWW 7series(ロービーム,オプション)、Hella & Bosch

世界で初めてHIDヘッドライトを搭載した日産の耐久レースカー・R91CP
Source ; Pen  https://www.pen-online.jp/article/006866.html


93年9月 世界初 高効率ハイパーハロゲン・Raybrig、スタンレー電気

1993年にスタンレー電気がRaybrigブランドで世界初で発売した高効率ハイバーハロゲンバルブ
Source ; Yahoo  https://paypayfleamarket.yahoo.co.jp/item/z275837088

95年   世界初 ネオン管HMSL、FORD Explorer、オスラム・シルバニア

Source ; Cars evolution

95年10月 日本初 アフターマーケット用HID、BELLOF JAPAN
96年   世界初 直流点灯式HID‐HL、Lincoln Mark VIII、オスラム・シルバニア
96年6月  日本初 HID‐HL、三菱自動車工業 スーパーグレート、スタンレー電気

1996年に日本初のHIDヘッドランプを搭載した、三菱自動車工業の大型トラック・スーパーグレート
Source ; Stanley
https://www.stanley.co.jp/company/100th/chapter5.html

96年8月 日本初 乗用車向けHID-HL、日産 テラノ、小糸製作所

Source ; Nissan
Source ; JAF https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/safety-light/lamp

97年   米国 ビジュアルエイミング認可
99年1月 世界初 脱着式樹脂レンズHLトヨタ ビッツ、市光工業

Source ; GAZOO https://gazoo.com/feature/gazoo-museum/meisha/compact/17/03/29/


99年3月 世界初 2灯式HID‐HLBenz CL
99年6月 日本初 LEDリアコンビネーションランプ、日産グロリアY34、市光工業

世界初のLEDリアコンビネーションランプを、1999年に搭載した日産自動車のグロリアY34グロリア前期
Source ; Motor-Fan  https://car.motor-fan.jp/article/photo/10017811

99年10月 世界初 LED-HLコンセプトカー、FORD 021C

世界初となるLEDヘッドランプ試作を搭載した、FORDのコンセプトカー021C、1999年東京モーターショーにて
Source ; Motor Trend 
https://www.motortrend.com/vehicle-genres/1999-ford-021c-concept-details-history-photos/
?galleryimageid=61fe2374-2254-4985-8cf5-2fbe5ab5d87e

配光可変ロービームの採用拡大、白色LEDの登場

 2003年に欧州で配光可変ロービームのAFS(Adaptive Front lighting System)が法制化されます。カーブで光軸を進行方向に向けることが出来るようになった他、車速や天候に応じて複数のロービーム配光を自動で切り替えることも可能になりました

 HLデザインは素通しレンズが当たり前となり、発光形状でブランドイメージをアピールする取り組みが盛んになります。2000年代前半は多眼化や細幅化、リング状のポジションランプ(BMW:Angel eye)等が登場しています

 2000年代後半は白色LEDの実用化が始まります。2005年にアウディがDRL、2007年にレクサスがロービームに初めて採用しました。白色LEDは熱を放射しないので樹脂材との相性が良く、特にポジションランプの発光形状の多様化に貢献しました

00年1月 世界初 LEDリアランプ、日産 ティーノ、スタンレー電気    

2000年に世界初のLEDリアランプを搭載した日産のティーノ
Source ; Stanley  https://www.stanley.co.jp/company/100th/product_chronology.html

00年2月 世界初 アフターマーケット用発光部移動式Bi-HIDバルブ、BELLOF JAPAN 
00年8月 日本初 パラボラ2灯式HID‐HL 三菱自動車工業 パジェロ、小糸製作所

日本初の2灯式HIDヘッドランプを2000年に搭載した、三菱自動車工業のパジェロ
Source ; Mitsubishi-motors  https://www.mitsubishi-motors.com/jp/company/history/car/

01年3月 世界初 2輪向け4灯式HID‐HL、ホンダ ゴールドウィング、スタンレー電気

2輪では世界初の4灯HIDヘッドランプを搭載する、ホンダのゴールドウィングGL1800
Source ; Honda  https://global.honda/jp/news/2001/2010822-goldwing.html

01年5月 世界初 複眼HID-HL(ガトリングビーム)、日産 シーマ、スタンレー電気

2001年に世界初のガトリングビーム・ヘッドランプを搭載する日産のシーマ
Source ; Nissan https://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/PROFILE/HERITAGE/2000/
世界初のガトリングビーム・ヘッドランプ
Source ; Nissan https://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/PROFILE/HERITAGE/2000/

上段の7眼発光部が「ガトリングビーム」、HID1灯

02年8月   日本初 プロジェクター&リフレクタHL、日産 フェアレディZ、小糸製作所
02年12月 世界初 2輪向け複眼HL、ヤマハ YZF‐R6、スタンレー電気

2輪向けとして世界初のガトリングビーム・ヘッドランプを搭載した、ヤマハのYZF-R6 2003年モデル
Source ; Yamaha https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2002/0911/yzf-r6.html

片側2眼 ハロゲン・ガトリングビーム

03年2月 世界初 スイブル式 AFS‐HL、トヨタ ハリアー、小糸製作所

世界初のスイブル式AFSヘッドランプを2000年に搭載した、トヨタのハリアー
Source; Toyota
https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60012014/index.html


03年5月 国内初 LEDリアフォグランプ 富士重工業 レガシー、小糸製作所

日本初のLEDリアフォグを2003年に搭載した、SUBARUのレガシーBP型
Source ; SUBARU  https://www.subaru.jp/brand/technology/history/

03年5月 世界初 ラインビームHL、ホンダ CBR600RR、スタンレー電気

世界初のラインビーム・ヘッドランプを搭載する、ホンダのCBR600RR・2003年モデル
Source ; Honda
https://www.honda.co.jp/factbook/motor/cbr600rr/200705/021.html


03年6月 世界初 4輪向けラインビームHL(高さ40㎜) ホンダ インスパイア、スタンレー電気

世界初のラインビーム・ヘッドランプを搭載した、ホンダのインスパイア・2003年モデル
Source ; Honda https://global.honda/jp/news/2003/4030618-inspire.html


03年6月 世界初 REF可動式スイブルAFS-HL ホンダ ステップワゴン、スタンレー電気

世界初の部分REF駆動によるAFSヘッドランプを搭載する、ホンダのステップワゴン
Source ; Honda  https://global.honda/jp/news/2003/4030605-stepwgn.html


03年7月 世界初 レーザー溶着工法フォグランプ トヨタ RAV4、小糸製作所

Source ; https://toyota.jp/ucar/catalog/brand-TOYOTA/car-RAV4L/200308/10011773/


04年7月 世界初 水銀フリーHID-HL、トヨタ ポルテ、デンソー&小糸製作所

世界初の水銀フリーHIDヘッドランプを2004年に搭載した、トヨタのポルテNNP型
Source ; gtnet
https://www.gtnet.co.jp/catalog_etc/00100_01500/200408_01502.html


05年3月 世界初 LED-DRL-HL、Audi A8 Quattro 6.0L、Hella

Source ; Audi of America inc. file:///C:/Users/stsya/Downloads/2006_A8L_W12.pdf
Source ; Audi of America inc. file:///C:/Users/stsya/Downloads/2006_A8L_W12.pdf

5-pointed type star front lights

06年9月 世界初 赤外線&ハイビーム切替えプロジェクタ、Lexus LS460、小糸製作所

世界初の赤外線投光機能付きプロジェクターハイビームを2006年に搭載した、レクサスのLS460 XF40型
Source ; Lexus https://global.toyota/jp/newsroom/lexus/34156994.html


07年5月 世界初 LED‐HL、Lexus LS600h、小糸製作所

世界初のLEDヘッドランプを2007年に搭載した、レクサスのLS600h
Source ; Toyota  https://global.toyota/jp/detail/1529635

08年4月  日本初 水銀フリーHIDバルブ量産、トヨタ マークX、東芝ライテック

Source ; Toyota 
https://toyota.jp/ucar/catalog/brand-TOYOTA/car-MARK_X/200910/10058400/


08年5月  世界初 フルLED-HLAudi R8、Automotive Lighting

Source ; Audi UK


08年10月 米国初 フルLED-HLCadillac Platinum、Hella


09年4月  世界初 ロービーム可変アダプティブハイビーム、Benz E-class、Hella

Source ; Daimler
ACoL (Adaptive CutOff Line) ADB   Source ; Daimler

配光可変ハイビームの採用拡大、レーザー登場、LEDの普及

 2011年、欧州で配光可変ハイビームのADB(Adaptive-Driving-Beam)が法制化され、眩しさを与えないハイビームが可能になりました。初期のADBは光軸スイブルと、ユニット内部の遮光板を可動して配光を制御するメカ方式が主流でしたが、以降はメカレスのLEDマトリクス方式に置き換わっていきます

 2014年にレーザーハイビームが実用化されます。以降、欧州の一部高級車に高速走行時の追加ハイビームとして搭載されるようになります

 LEDは性能向上と低コストが進んだことで、HIDは全てLEDへ置き換わり、ハロゲンや白熱電球も一部廉価仕様を除いてLEDに置き換わりました

10年2月  世界初 カットオフ左右駆動型ADB、VW Touareg、Hella

vCoL-ADB (Vertical Cut off Line ADB) Source ; VW

10年12月 世界初 REF式LED‐HL、日産 リーフ、市光工業

世界初のリフレクタ式LEDヘッドランプを、2010年に搭載した日産自動車の初代リーフ
Source ; Nissan  https://www.nissan.co.jp/HERITAGE/DETAIL/462.html

11年2月 欧州 DRL義務化
11年3月 欧州 ADB認可
11年10月 日本 ADB認可

12年2月 世界初 2輪向けLED-HLDucati Panigale 1199 S tricolore

Source ; motorcycle.com
https://www.motorcycle.com/specs/ducati/sport/2014/panigale/1199-s/detail.html


12年7月 世界初 LED-ADB‐HLBMW 7seires

12年12月 日本初 ADB‐HL、Lexus LS、小糸製作所

日本初のADBヘッドランプを2012年に搭載した、レクサスのLS600h
Source ; Youtube TechnologicVehicles 2013 Lexus LS 600h F-Sport

12年12月 日本初 ガソリン軽自動車用LED-HLダイハツ ムーブ、小糸製作所

Source;Daihatsu  https://www.daihatsu.com/jp/news/2012/20121220-01.html

13年3月 世界初 公道走行可能なレーザーHLSimDrive Sim-Cell、スタンレー電気

レーザーヘッドランプを搭載する、世界初の公道を実験走行可能なインホイールモーター電気自動車
Source ; Stanley Electric https://saiyo-stanley.com/project/03.html
公道実験EVのSim-Cellに搭載されるレーザーヘッドランプの光源位置を説明している
Source ; Monoist

13年6月 世界初 標準搭載LED-HL、トヨタ USカローラ、小糸製作所

Source ; Wikimedia commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:2014_Toyota_Corolla_S_(1.8,_CVT).jpg

14年6月  世界初 レースカー用レーザーHL、R18e-tron、Audi

Source ; Audi media-center  Leman 24h

 14年10月 世界初 レーザーハイビーム、アウディ R8‐LMX、AL(現マレリ

14年11月 世界初 LED1灯式バイファンクションLED‐HL、トヨタ プリウスα、小糸製作所

世界初のLED1灯でハイビームとロービームの切替機能を持つヘッドランプを2014年に搭載した、トヨタのプリウスα
Source ; Toyota  https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/21797492.html

15年1月 世界初 ソケット型標準LED(ポジション用)、アルファード30系、市光工業

世界初の標準LEDソケットバルブを、2015年に使用したトヨタ自動車のアルファード30系
Source ; Toyota
https://toyota.jp/ucar/catalog/brand-TOYOTA/car-ALPHARD/201501/10095416/

2015年1月7日 日本初 LEDアレイADB、マツダ アテンザ/CX-5、小糸製作所/スタンレー電気

日本初のLEDアレイADBヘッドランプを2015年1月7日に搭載した、マツダのアテンザ
Source ; Mazda
日本初のLEDアレイADBヘッドランプを2015年1月7日に搭載した、マツダのCX-5
https://blog.mazda.com/archive/20151224_02.html

左:アテンザ      右:CX-5

18年   世界初 カメラベース制御Laser-HL、BMW、Automotive Lighting

18年3月 世界初 130万画素 DLP-HL、Daimler Benz mybach、Automotive lighting

Digital Light  Road projection function
Source ; Mercedes-Benz  https://group.mercedes-benz.com/innovation/specials/geneva-2018/digital-light.html

19年9月 世界初 スキャン式ADB、Lexus RX、小糸製作所

世界初のスキャン式照明技術を用いた配光可変ハイビームを搭載した、2019年式レクサスRX
Blade Scan ADB Source ; Koito
https://www.koito.co.jp/global-image/news/pdf/2019090913120016547937145d75d1101a859.pdf

19年10月 日本初 ディミング・ターンシグナルランプ、マツダ CX-30、スタンレー電気

Source ; Mazda 
https://www.mazda.co.jp/cars/cx-30/?_ga=2.65441134.1542862890.1709718429-1085836409.1708221030

T.B.C

20年4月 日本 オートライト義務化(継続生産車は21年4月)
21年5月 世界初 RGB-LEDディスプレイランプ Hiphi-X

Source ; Hiphi

Front : RGB-LED Display、Rear:Red-LED Display

22年9月 日本初 歩行者スポット照射機能付きADB、マツダCX‐60、スタンレー電気

Source ; Mazda
Source ; Mazda

22年2月  北米 ADB法制化
22年12月 世界初 高解像LED‐ADB、ポルシェ カイエン、FORVIA

23年10月 世界初 レーザーテールライト、BMW M4 CSL

Source ; BMW

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