市光工業 VERIAS「LEDデイタイムランプ」は、スーパーフリッカーで明るさアップ

歴史

 20年以上前の話です。市光工業は2002年10月21日、当時まだ発展途上の白色LEDを使用した昼間点灯専用の後付けキット「LEDデイタイムランプ」の販売を開始しました。この商品の特長は、独自の電源制御技術「GEEユニット」を搭載し、LEDの明るさを50Hz以上で変動させ、光をチラつかせることで、LED本来の明るさ以上の明るさ感を実現するというモノです。

画像Source ; https://minkara.carview.co.jp/userid/343344/car/244741/1662509/parts.aspx

参考: レスポンス 市光工業、省エネタイプのランプキットを発売
   レスポンス 昼間点灯用のLEDランプを発売—市光工業 

Source ; VERIAS

 実物を見ると説明通り、少し ”チラつき” を感じます。スーパーフリッカーと呼ばれ、明るさが細かく揺らいで見えるので、街中で装着している車両を見ると確かに目立ちます。明るさ感がGEEユニットで本当に増えているかどうかは、元の明るさが分からないので何とも言えませんが、視覚特性の研究では、愛媛大学が60Hz、Duty10%(発光時間の比率)の点滅光で、心理的な明るさ感が3割~6割増えると報告しています。愛媛大学の研究は点滅光に対してであり、GEEユニットの光度変調とは条件が異なるので、研究結果を単純に引用できませんが、GEEユニットにおいても、心理的な明るさ感が増える効果はありそうです。

 このGEEユニットは市光工業の独自開発では無いようで、神奈川のMIC WORKS社(以下 MIC社)が特許を保有しています。LEDデイタイムランプ本体を生産し、市光工業に供給している為、実質はMIC社の開発品のようです。ランプキットを見ると、電源回路部にMIC、GEE、PATの文字が見えます。別のキットでは、光度変化の周波数と思われる ”55Hz” 、 ”70Hz” の文字が見えます。

LED デイタイムランプ タイプ5 12V青     Source ; Amazon.co.jp

電源回路部 拡大

        左: タイプⅠ VDT11-12WKI Source ; Aucfan
        右:タイプⅢX VDT13-12WKI  Source ; Croooober

  ”車検対応” ですが、微妙に光度が変化して見えるので法規適合性が心配になった記憶があります。昼間走行灯の規定が無く ”その他灯具” の300cd以下は守られていましたが、保安基準ではターンシグナルや警告灯を除き、光度や色を変化させてはならないとあります。厳密な遵守は不可能(電圧変動、HIDの色変化等)なので、法規の主旨は意図的な光度や色の可変を禁じていますが、本商品は ”意図的” に光度を変化させていると解釈されるかどうかが判断の分かれ目です。

 当時、小糸製作所やスタンレー電気も後付けデイタイムランプ・キットを出していましたが、光度は一定でした。市光工業は事前に然るべき公的機関に相談し、”問題なし” とされた上で商品化したそうですが、2016年法改正で昼間走行灯が正式に認められた後は、市光、小糸、スタンレーのライト御三家から、チラつきを利用した製品が出てこないないことから、判断基準が引き上げられたのかも知れません。

 尚、欧州車の一部に、デイタイムランニングライトにスワロフスキー等の光学プリズムを多数配置し、LEDの光度変調と組み合わせてキラキラ感を演出している例があります。欧州法規においても、デイタイムランニングライトの意図的な光度変化は許容されていないため、LEDの光度変調は停車中に限定しているとのことです。

 最後に余談ですが、GEEユニットの基本特許はMIC社が1999年に出願した特許3080620で、発明者はMIC社を昭和43年に創業された「松原 勝」さんです。MIC社ホームページによると、1914年生まれで2020年に逝去されおり、そこから単純計算すると55歳で創業、85歳で特許出願したことになります。白色LED黎明期に、LEDの高速応答性と視覚特性を組み合わせたアイデアを85歳で創出し、製品化に繋げたことに驚きました。

 特許を追っていると先人の活躍と苦労が見えてくることがあり、想像を掻き立てられるのも楽しみの一つです。

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