LEDヘッドライトの ”世界初” をめぐる小話

ライト業界

 世界初のLEDヘッドライトといえば2007年レクサスLS600hです。ところで、LEDヘッドライトの定義とは何でしょうか? 

Source ; Response

 実は定義そのものが無いので、独自解釈で ”LEDヘッドライト” を名乗って良いのです。2010年頃は、多くのメーカーがポジションランプだけをLED化し ”LEDヘッドライト” と称して販売しました

 ここから本題の ”LEDヘッドライト世界初” の称号をめぐる小話です

 量産車で初めてヘッドライト機能の一部をLED化したのは 2004年のAudi A8 Quatro6.0Lで、DRL(デイタイムランニングライト)にLEDを使用しました

Audi A8 quattro 6.0L、LED-DRL LED5個使用

 その後、2007年にレクサスLS600hがロービームをLED化し、2008年にAudi-R8が全機能をLED化したフルLEDヘッドライトを搭載します

 3車のLEDヘッドライトの搭載時期と特徴を見ると、最初に一部機能をLED化したのはAudi Quattro6.0L、全機能を最初にLED化したのはAudi R8になります

2004年 一部機能をLED化(世界初)、Audi Quattro 6.0L、LED-DRL
2007年 一部機能をLED化、レクサス LS600h、LEDロービーム
2008年 全機能をLED化(世界初)、Auid R8、フルLEDヘッドライト 

 アウディの地元であるドイツの自動車業界は「世界初のLEDヘッドライトはAudi」として、学会講演やプレスリリースでPRを始めます

 2007年~2015年くらいにかけて、ドイツを除けば「世界初はレクサス600h」とする論調が大方ではありましたが、当時のドイツ系カーメーカーやサプライヤーの講演資料には、LEDヘッドライトに関して、LS600hは殆ど記載されていません

Source ; Philips 2010SAE

欧州光源メーカーの講演資料、右上はアウディR8

 一方、レクサス陣営はライトメーカーの小糸製作所と共に、学会や講演会で ”LS600hのLED技術” を多数紹介して世界初をアピールしました。

 特にヘッドライトの最も重要な機能であるライティングに着目すれば、ロービームのみとはいえ、LS600hが世界初であることは間違いないからです

2004年 シグナリング機能を一部LED化(世界初)、Audi Quattro 6.0L、LED-DRL
2007年 ライティング機能を一部LED化(世界初)、レクサス LS600h、LEDロービーム
2008年 ライティングとシグナリング機能をLED化(世界初)、Auid R8、フルLEDヘッドライト 

 2007年当時から、ドイツ以外のメディアは総じて ”レクサスLS600hが世界初” として扱い、ドイツ勢も2010年代半ばになると、世界初LEDヘッドライトとしてLS600hを認める雰囲気になります

 10年近くかけた、LEDヘッドライトの世界初を巡る水面下の小競り合いに決着がつき、現在の評価は以下のように定まっています

 ドイツでは2013年~2015年にかけて、レーザーヘッドライトの開発競争が激化し、ここでも世界初を巡る競争が繰り広げられますが別の機会に触れることにします。

 定義が曖昧で解釈の余地が広い ”世界初” や ”世界一” は物議を醸します。例えば世界初の量産EVは ”三菱自動車i-MiEV” か ”日産LEAF” か ”日産たま” なのか、それとも19世紀後半まで遡るのか、良く分かりません

 少なくとも、日本勢による世界初LEDヘッドライトの偉業が歴史に刻まれたことは、日本国民にとって誇らしいことです

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